7月18日(日)
天気 快晴
現場作業 9:00〜17:00

作業内容 1×1mの試掘調査区4か所(M-15a,M-14a,L-14a,K16a)の発掘を開始。1〜2層で土器片が出土している。M-14aの2層で玉髄製剥片2点、K-16aの表土でハンマーストーンが出土している。
1層は腐植土、2層は炭化物粒を多く含む耕作土、3〜5層は黄褐色粘土層である。昨年の調査では、1〜2層で石器と土器片が、3〜5層で石器が出土しており、3〜5層が旧石器時代の遺物包含層と考えられる。
試掘調査区では表土除去の後に2層を掘り下げ、3層上面を検出する。3層を5〜10cm掘り下げて調査対象範囲における石器分布の有無を確認する予定である。

M-15a 表土より土器片7点、2層より土器片8点、レンガ片1点が出土し、それぞれ出土状況の写真撮影の後にグリッド一括で取り上げた。3層上面より10cmほど掘り下げたが、石器は出土していない。表土の層厚は5cm未満、2層の層厚は10〜15cmである。
3層上面検出状況(北から) 3層掘り下げ状況(東壁土層断面)

M-14a 表土より土器片2点が出土し、出土状況の写真撮影の後にグリッド一括で取り上げた。2層を掘り下げ、3層上面を検出。2層より玉髄製の剥片2点、土器片数点が出土している。表土の層厚は3cm未満、2層の層厚は10〜15cmである。
この後、3層を5〜10cm程度掘り下げて石器分布の有無を確認する。
表土除去作業風景 2層の玉髄製剥片出土状況

L-14a 表土と2層の境より土器片8点が出土し、出土状況の写真撮影の後にグリッド一括で取り上げた。2層を掘り下げ、3層上面を検出中。2層より土器片数点が出土している。表土の層厚は5cm前後、2層の層厚は20〜25cmで、調査区西側にやや厚く堆積する。調査区南西コーナー付近は木の根による攪乱が著しい。
この後、3層上面を全面検出し、3層を5〜10cm程度掘り下げて石器分布の有無を確認する。
2層掘り下げ作業風景

K-16a 表土より土器片1点、ハンマーストーン1点が出土し、出土状況の写真撮影の後にグリッド一括で取り上げた。2層を掘り下げ、3層上面を検出中。2層より土器片数点が出土している。表土の層厚は10cm程度、2層の層厚は20cm程度で、調査区西側にやや厚く堆積する。
この後、3層上面を全面検出し、3層を5〜10cm程度掘り下げて石器分布の有無を確認する。
2層掘り下げ作業風景

その他 K-16付近でハンマーストーン1点、L-14bで土器片1点を表採。

村田町谷山地区の荒川を踏査。河床で2〜4cm大の黒耀石が採集される。石質や斑晶の状態など肉眼で観察される特徴が、本遺跡で断面採集されている2点の黒耀石製ナイフ形石器の石材と近似している。しかし、河床で採集される原石はごく小さく、少量であることから、より上流を中心にさらに踏査を重ねる必要がある。
村田町谷山地区を流れる荒川 荒川の河床で採集された黒耀石
宿舎「山の学校」を管理している龍泉院の裏手に分布する古墳を見学。村田盆地は名取市に次ぐ県内屈指の古墳分布地域としても知られている。
龍泉院横穴古墳群は凝灰岩の崖に6基が確認されている。1995年に既に開口していた2基が発掘調査され、羨道部より金銅製耳環、象嵌入直刀などが出土。土師器、須恵器などの特徴から7世紀中頃から後半(古墳時代後期)に造られたと考えられている。
愛宕山古墳は標高約90mの尾根上に造られた全長90mの前方後円墳である。葺石と埴輪がみられ、埴輪は野焼きで東北地方で最も古い時期のものであるという。レーダー探査によって竪穴式石室と見られるものが確認されている。埴輪や墳丘形態の特徴などから4世紀後半頃(古墳時代前期)に造られたと考えられている。
愛宕山古墳 龍泉院横穴古墳群

来訪者
(敬称略)
三浦実(宮城県築館町教育委員会)、黒田篤史(岩手県宮守村教育委員会)

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